睡眠がとれていないと肌の調子がイマイチ・・どうして?
睡眠不足が続くと肌のハリがなくなり、化粧ノリが悪くなるのは誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。
これは睡眠不足によって肌の新陳代謝が悪くなってしまうことが原因です。
肌の新陳代謝が悪くなると、余分な角質がたまり、くすみやざらつきの原因になってしまいます。
このことで肌のハリが失われてしまい、化粧ノリが悪くなってしまうのです。
その他にも睡眠がきちんととれていないと、肌にさまざまな悪影響が出てしまいます。
例えば、肌がくすんだりツヤが失われたり、目の下のクマも目立ってきます。寝不足の状態で高価な化粧品を使っても、血液の循環はよくならず、増えたシワやシミを隠すことは難しいでしょう。
ニキビが治りにくくなり、ニキビ跡もなかなか消えないといった影響も出てくるので睡眠はしっかり取りたいものです。
肌の回復と睡眠の関係
睡眠と美容の関係について、イギリスの寝具メーカーであるBensons for Beds社が実験を行いました。
同じ人に毎日8時間の睡眠と、6時間の睡眠を同じ日数とってもらい、肌の状態や精神状態などを調べるという実験です。
その結果、8時間睡眠を数日続けた後、6時間睡眠の日が続くと、しわが45%、しみが13%増えていたそうです。さらに、肌の赤みも8%増加したという結果がでました。
適切な睡眠時間は個人差があります。しかし、睡眠時間が短くなることで肌へのダメージが残るという結果が出たのは事実です。
また、精神状態についても興味深い結果が出ています。参加者の20%の自尊心が低下していると感じたそうです。33%の参加者が気分の落ち込みも感じており、睡眠時間が短くなることで卑屈になったり、マイナス思考になったりと精神状態についても影響を与えているのでした。
最適な睡眠時間とは
肌の新陳代謝を促す成長ホルモンは、睡眠によって分泌されます。
この成長ホルモンは肌のハリ、弾力を維持するのに必要な皮下組織の水分量をキープする働きがあるほか、肌のターンオーバーを促進し古い皮膚を新しい皮膚に生まれ変わらせる力を持っており、美肌を維持するのに不可欠な存在です。
この成長ホルモンが分泌されやすい時間帯がゴールデンタイムです。
これまで、ゴールデンタイムは22時から2時と考えられていました。この時間にしっかり睡眠をとることで肌のターンオーバーを促すという説です。
ただ、忙しい現代人にとって22時に睡眠をとることは難しく、実現するのは難しいというイメージでした。
しかし、最近この22時から2時のゴールデンタイムに異議を唱える専門家が増えています。特定の時間帯ではなく、入眠後3~4時間という説が有力になってきています。
実際、入眠から3~4時間の間、脳下垂体から成長ホルモンが分泌されることがわかっており、重要なのは入眠後3~4時間にしっかり熟睡することが質の良い睡眠をとることと考えられるようになりました。
ただ、美容、健康を考えると早寝早起きのほうが間違いありません。できれば0時までに睡眠をとるようにしましょう。
質の良い睡眠をとるには
質の良い睡眠をとるために、就寝前の生活も見直しましょう。
寝る直前まで仕事や運動をしていると、交感神経が優位になり、寝付きにくくなります。
自分が取り入れやすいことから初めてみましょう。
適度な運動は熟睡を誘う
日中に運動すると、生活リズムにメリハリが生まれ、自然な眠気から睡眠につなげることを期待できます。中途覚醒が少なくなり、熟睡しやすいでしょう。
動きすぎて興奮状態で眠れない場合、オーバートレーニングになっている恐れがあります。自分の生活リズムに合わせて運動強度を調整することで眠りやすくなるでしょう。
就寝3時間前までに食事を済ませる
就寝時に消化が終わっているのが理想です。食後、すぐに寝てしまうと体は消化を優先するため、内臓が休む時間が短くなってしまいます。同じ睡眠時間でも、眠りが浅くなってしまいます。
帰宅から就寝までの時間が短い場合、消化のいいものを少量摂るだけにとどめましょう。
タンパク質を意識して摂る
肌や髪の毛の材料となる成分である「ケラチン」の原料になるタンパク質は、人間の身体作りには欠かせません。
食事で上手に補給しましょう。タンパク質の多い食材は卵、牛乳、チーズ、ヨーグルト、鶏肉、豆類など。
こうしたものを積極的に摂取するよう心がけましょう。とくに朝食にタンパク質を摂るのがおすすめです。忙しくてもゆでたまご1個やヨーグルト1杯でもいいので、食べる習慣をつけましょう。
夕食で摂りたい食材
セロリや納豆、玉ねぎには快眠に欠かせない栄養素を含んでいます。
セロリの葉にはアピインという精油成分が含まれており、香りが精神を安定させ不眠改善に効果が期待できます。
納豆に含まれるナットウキナーゼは汗をかいて固まりやすくなる就寝中の血液をサラサラに。
玉ねぎが持つ独特の刺激臭である硫化アリルは疲労回復や神経の鎮静化作用があり、安眠が期待できるでしょう。
玉ねぎ以外にもネギ類、ニラ、にんにくなどにも含まれているので、夕食時に取り入れてみてください。
カフェインやアルコールは眠りが浅くなる
就寝前に覚醒作用のあるカフェインやニコチンをとると、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなってしまうので避けたほうがいいでしょう。
就寝前にお茶やコーヒーを飲みたい場合はノンカフェインのものを選ぶようにしてください。
アルコールは入眠しやすくなりますが、眠りに入ってからの睡眠が浅くなります。アルコールは依存性もあるため、寝酒として飲酒するのは避けるようにしてください。
ぬるめの入浴
ぐっすり眠るためには布団に入る前に身体の温度をちょっと上げておくことが効果的です。身体の奥の体温(深部体温)が下がるにつれて、人は眠くなるようにできているためです。
シャワーではなく湯船につかって温まりましょう。
ただし、熱めのお湯に長く入っていると交感神経が優位になり、寝付きにくくなります。高温のお湯は体への負担も大きいので40度前後のぬるめのお湯に20~30分浸かるようにしましょう。
体をじっくり温めることで、緊張をほどきリラックス効果が期待できます。無理のない範囲で大丈夫なので、湯船にゆっくりつかる習慣を心がけてみてください。
寝る前のスマホやパソコンは禁止
スマホやパソコンから発せられるブルーライトは、眠気を引き起こすメラトニンというホルモンの分泌を妨げてしまいます。
就寝1時間前からスマホやパソコンは見ないようにしましょう。落ち着きのある音楽やリラックスできるアロマを楽しむことはおすすめです。
メラトニンの元となるのは、日中に分泌されるセロトニンという物質です。セロトニンは日光を浴びることで分泌されるので、明かる時間帯にしっかり活動することもメラトニンの成長を促します。
メラトニンには眠気を誘発するだけではなく、老化物質であるAGEを下げる作用もあります。AGEを分解することで、肌の老化を抑制してくれるのです。
AGEとは、体内の余計な糖とタンパク質が結合されることで生成される老化タンパク質のことで、皮膚のコラーゲンを変性させ、肌の弾力を低下させ、シワやたるみの原因といわれています。
他にも生活習慣病や認知症を引き起こす一因として注目されている物質です。
寝具環境を整える
体にあった寝具も質の良い睡眠には欠かせません。枕は高すぎず低すぎず、首のカーブを埋めて首から頭にかけてしっかり支えてくれるものにしましょう。
敷布団やマットレスは立っているときと同じような寝姿勢を保て、寝返りが打ちやすく、体圧を分散してくれるもの。掛け布団は軽めのものを選ぶようにしてください。
また、パジャマにこだわりたいところ。パジャマは普段着よりもゆったりしたサイズ感になるため、体への締め付けがなく、血の巡りをよくすることで、リラックスできます。
素材も薄手で肌触りもいいので、触角を通じて脳をリラックスさせる効果もあり、スムーズに副交感神経を優位にし、質の良い睡眠につながります。
快眠のためのエアコン活用法
エアコンをつけたまま寝たら早朝寒くて起きてしまった。でも扇風機だと暑くて眠れないという経験はあると思います。
朝までぐっすり眠るためのエアコン活用法について紹介します。
良い睡眠をとるための設定方法
暑いと眠れないのは、熟睡するために体温を下げる必要があるからです。身体の仕組みとして、睡眠が深くなると、深部体温と呼ばれる身体の内部の温度が下がるようになっています。
質の良い睡眠をとるには、室温を28度以下、湿度が40~60%がベストです。湿度が高くなると汗が乾きにくく、体温が下がりにくくなります。
エアコンは一晩中つけておいたほうが室温は安定します。室温が28度を超えると熱中症の恐れがあるので、28度を超えないように設定してください。
エアコンをつけたままだと寒くて起きてしまう場合、2段階設定がおすすめです。
就寝1時間前、低めの温度に設定し、室温を下げ、就寝前に快適な温度まで上げて、エアコンはつけっぱなしにします。
壁や天井は昼間の熱が残っているため、しっかり冷やしますが、そのまま寝ると寒いので、寝る直前にエアコンの温度を26~28度に設定。
設定温度を上げた後は、ゆっくり室温が上がってくるので、寝ている間に身体を冷えすぎずにすみます。
昔から寝る子は育つといわれていますが、美しい肌を保つためにも、睡眠によって成長ホルモンを分泌させることが大切です。
最近、肌の調子が悪い、気分が落ち込む、シワが増えたような気がすると悩んでいる方は、自分の睡眠時間や質について振り返ってみましょう。
いつもより1時間ベッドに早く入り、質の良い睡眠を取ることで解決するかもしれませんよ。